エディアカラン紀の古生物 -6億3500万年前〜5億4200万年前-
最初の生命は約39億年前に海で誕生したといわれている。最初に生まれたのは顕微鏡サイズの微小な単細胞生物だ。彼らの中からやがて群体を作るものが現れ、その中からさらに多細胞生物が生まれた。そしてこのエディアカラン紀の地層から、ようやく肉眼で見えるサイズの生物の化石が見つかっている。
特殊な構造の生物たち
現在の地球では左右対称の構造をもつ生物が主流だが、この時代の化石からは左右対称ではない生物種も多数出現している。ディッキンソニア(左)は平べったい生物で体長は40cmにもなる大きな生物だった。身体を横断する筋は左右で互い違いになっていた。トリブラキディウム(右)は三放射相性という現在の生物にはいない特殊な構造の生物だ。
原始世界の開拓者
より積極的な「活動」の痕が残されている化石も見つかっている。イカイア(左)は地面を這い回った跡ととももに発見されているし、キンベレラ(右)は腕のような器官で海底の泥を自分のところにあつめて食事をしていた痕跡が化石に残されている。彼らのような海底を耕すものたちが現れたことで、泥のより深いところまで酸素が行き渡り、泥中の栄誉が増えやすくなったり、その泥の中で生活する生物が出現するための足がかりになったと考えられる。
弱肉強食の起源
エディアカラン紀当初は上記のような「やわらかい生き物」の化石しか見つかっていない。骨も殻もないかれらが化石に残ったのは奇跡のようなものなのだが、同時に殻を持つ化石が見つかっていないということは、そもそもまだそういう生き物がいなかった可能性が出てくる。誰も殻も棘ももっていない。つまりまだ天敵から身を守らなくても生き残れたんじゃないかと考えることができる。というわけでこの時代は、まだ弱肉強食のない平和な世界だったといわれている。
そんなエディアカラン紀の後半の地層からは、1mm以下の微小なトゲや殻状の化石が見つかっている。どれも硬い部分の化石しかみつかっていないので具体的にどんな生き物だったのかはわからないが、鎧が必要になったということは、この時代の彼らには天敵たる捕食者がいたということだ。つまり少なくともこの頃から、今日まで5億年以上続く「食う食われる」の世界が幕を開けたといわれている。
競争が激しくなれば、それだけ進化の速度も早まると言われている。次のカンブリア紀からはさらに複雑な生命が大量に見つかっている。エディアカラン紀の化石も今後さらにたくさん見つかれば、そこまで繋がるグラデーションがより細かく見えるかもしれない。結局この時代のことはまだほとんどよくわかっていないのだ。